設計品質の重要性
漢字で「品質」品物の質と書きますが、英語のQualityに品物という概念は含まれません。
日本語でも経営品質、サービス品質、教育品質など形のないものにも品質という言葉を使います。
初めにQualityを和訳した人が弾みでつけた日本語でしょう。
単に「質」と訳せば良かったのですが、これでは短すぎてやや収まりが悪いのは確かです。
言葉は広まってしまうと容易に変えられませんから、そういうものだと割り切るしかありません。
さて製品の品質にもいくつかの分類があり、そのひとつを次に示します。
(1)要求品質:市場本質
(2)狙いのの品質:設計品質
(3)出来栄えの品質:製造品質
1950年代の日本工業製品は根本的な質が悪かったために(3)の製造品質を上げることが急務でした。
デミング博士らの指導が国民性にもマッチしたことで60年代から70年代にかけて急速に品質が向上して世界市場を席巻しました。
しかし1990年ころから品質至上主義がオーバーシュートし、また新興国の生産力向上によって、まるでクリステンセンが言うイノベーションのジレンマを彷彿させる変化が起こって、日本工業製品の競争力が低下していきました。

この時期主流となってきたデジタル化した製品が、新興国で作りやすかったという要因もあるでしょう。
製造品質で差別化できないとなると、市場の要求に応える製品を提供する(2)設計品質を上げることが相対的に重要となってきます。そもそも生産ラインでの品質管理が一般化した現在、市場クレームの9割以上は設計問題とも言われます。この点でも品質問題が起こってから再発防止をするのではなく、そもそも品質問題を起こしにくいロバストな設計プロセスを確立する必要性が高まっています。
高い設計品質を実現するためには、次の3手法の有効性が多数実証されています。
(1)顧客、市場要求を設計仕様に効果的に取り込むQFD(品質機能展開)
(2)その仕様を実現するためのアイデア発想法TRIZ
(3)そのアイデアを実現し具体的な設計仕様に落とし込むタグチメソッド
具体的な原理や取り組み方は、いずれまた別稿でお伝えしたいと思います。
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